新築、それともリフォームでしょうか?念願の薪ストーブをご自宅に迎えられ、「早く薪を燃やして炎の揺らめきに酔い痴れたい。」と心待ちにされていることと思います。

私が薪ストーブの暖かさに魅了され、その素晴らしさを他の薪ストーブユーザーに知ってほしいとネット通販を始めたのが15年前。少しずつ作る量を増やして、お陰様で今ではその他の薪を合わせて600m3を毎冬全国のユーザー様に届けるに至っております。
現在に至るまで、材料の確保や保管場所をはじめ様々な問題に直面し、その都度いろんな意見を取り入れて改善してきました。「よくここまでやってこれた。」というのが、正直な気持ちです。

先日、山で木を切って原木を出してもらっている山師さんの一人と話をする機会がありました。普段から口数が少ない方なのですが、「この間、怖いことがあってな。」と珍しく向こうから話しかけられ、「クヌギを切ってたら、急に裂けて危ないとこやったんや。一瞬、『マズイ!』と思ったで、チェンソー置いて逃げたでよかったけど、チェンソー引き抜こう思てゴネゴネしとったら、あの世行きやったわ。」
「そうですか、危なかったですね。気いつけて下さいね。」と声をかけて、伐採された原木を積んでその場を後にしました。

帰りの道中、ふと頭をよぎりました。「こんな危ない目をして出されてきた木材を使って薪が作られている。そのことを、まずは薪を購入される方達にも伝えるべきだ。」と。
調べてみると、林業の死傷率は全産業平均の何と24倍。決して皆さんを脅すわけではありません。ただ、お手元に届いた薪は、生身の人間が自然に立ち向かい、命と隣り合わせの世界から運ばれたものだということを炎の向こうに思い出していただければ、林業家のみなさんの苦労も報われることと思います。
